ゆっぽ:
やまと〜、買戻し特約ってね、不動産を売っても後から買い戻せるっていう制度なんだって。
でもさ、その不動産に抵当権がついていたら、買戻しで戻ってきたお金に対しても抵当権って効くの?
やまと:
ふわ〜ん、それはね、まさに「物上代位(ぶつじょうだいい)」の出番だよ!
じゃあ今日は、藍の里の森に住む、鹿のリリさんとコガネムシのコガネさんのおはなしでいっしょに学んでみよう♪
【森の雑貨屋さん、リリさんの決断】
藍の里の静かな森に、小さな雑貨屋を営むシカのリリさんがいました。
けれど、森の道が整備されることになり、急な出費が必要になってしまいます。
そこでリリさんは、大切にしてきた山の一部の土地を、カフェを開きたいことりのピピちゃんに売ることにしました。
ただし――
「もしまた余裕ができたら、この土地を買い戻したいの」
そんな願いを込めて、売買契約には「買戻し特約」をつけたのです。
「2年以内なら、元の金額で買い戻せる」──そんな優しい約束でした。
【そして…ピピちゃんはコガネさんに借金を】
ピピちゃんは土地を買ったあと、開業資金のために藍の里バンクのコガネムシのコガネさんからお金を借ります。
そのとき、担保にしたのがあの山の土地。
もちろん、抵当権をつけて、登記も済ませました。
【リリさん、買い戻す!でも…】
数ヶ月後、リリさんはお客さんの応援もあって、
ついに土地を買い戻せるだけのお金を用意します。
「ピピちゃん、約束通り、買い戻させてね」
こうしてピピちゃんのもとに、買戻代金が入ることになりました。
でも…ここで登場するのが抵当権者のコガネさん!
【コガネさんの主張と、物上代位】
「もともと担保にしていたのは、この土地ですよね?
でも今は買い戻されて手元にない…
だったら、その代わりにピピちゃんが得る“お金”に、
私の抵当権の力を使わせてもらいますよ(=物上代位)」
そう、抵当権には「価値を追いかける力」があるんです。
【結論と判例】
このようなケース、最高裁(平成11年11月30日)は──
「買戻代金債権は、不動産の価値が変化したものと見られるから、物上代位できる」と判断しました。
つまり、コガネさんはピピちゃんが受け取るはずのお金を「差押え」することで、
抵当権の効力を発揮できるのです(民法304条)。
【ポイント】
買戻し特約
売買契約と同時に「将来買い戻せる権利」をつける制度(民法579条)
買戻代金債権
不動産の代わりに、買い戻した人が支払うお金。受け取る権利が「債権」になる
物上代位
担保の目的物が「お金など」に変わっても、担保権が及ぶ(民法304条)
判例
H11.11.30 最三小判:買戻代金債権にも物上代位が及ぶと認めた
ゆっぽ:
なるほど〜!土地というカタチはなくなっても、
「その価値」を受け取る権利には、ちゃんと抵当権が追いかけられるんだね!
やまと:
ふわ〜ん、ゆっぽちゃん、今日も学びの芽がぽふぽふ育ったね〜!
買戻し特約も、物上代位も、民法のやさしさと現実のバランスが詰まってるんだよ♪
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