◆ 時効の援用ってなあに?
ゆっぽ
「やまと〜、“時効”って、“時間が経てば借金が消える”って聞くけど…黙ってたら自動で消えるの?」
やまと
「ふわ〜ん、実はね、それだけじゃダメなんだよ〜。
“もう払わなくていいはずです!”って言わないと、時効の効果は発動しないんだ。
それを“援用(えんよう)”って言うんだよ〜!」
◆ 民法145条のぽふぽふポイント
時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
(民法145条)
つまり…
「私はもう支払いません」と宣言する=援用しないと、時効は意味を持たないんだね。
◆ 抵当権ってなあに?
たとえば、誰かにお金を貸すときに「返せなくなったら、あなたの畑を売って返済にあてます」という約束をすることがあるよね?
そのときに使われるのが「抵当権(ていとうけん)」という担保のしくみなんだ。
借金に対して、
一番目に抵当権を設定した人 → 先順位抵当権者
二番目に抵当権を設定した人 → 後順位抵当権者
って呼ばれるよ〜!
◆ やまとのぽふぽふ話:チッチさんのドキドキ作戦
藍の里のはずれにある、くまさんの大切な畑。
ある日、たぬきのぽんきちさんは、ちょっとずる賢いキツネのこんたさんからお金を借りて、
「返せなくなったら、この畑を売って返します」という約束で、
くまさんの畑に抵当権をつけてもらったんだ。
このとき、くまさん自身は借金していないけれど、土地を担保に差し出していたから、「物上保証人」という立場になるんだよ〜。
それからしばらくして、ぽんきちさんは今度はリスのチッチさんにもお金を借りて、
同じ畑に後順位の抵当権を設定したの。
そして月日は流れ、
最初の借金から10年以上が経過していたことに気づいたチッチさん。
チッチ
「もし、こんたさんの借金が“時効”で消えてくれたら、
わたしの抵当が一番になって、先に回収できるかも〜!」
そう思って、「その借金、もう時効でしょ〜!」と、元気よく援用を主張したの。
でも、そこに現れたのが、フクロウ判事。
フクロウ判事
「チッチさん、その借金は“ぽんきちさんがした借金”ですね?
あなたが直接責任を負っているわけではない“他人の債務”を時効で消そうとすることは、援用として認められません。
あなたの抵当は後順位である以上、先順位が消えるのを“期待”しても、それだけでは足りないのです。」
一方で…
畑を担保にされていたくまさんは、静かに口を開いた。
くまさん
「私は借金をしていないけれど、
もしぽんきちさんが返せなかったら、わたしの畑がなくなるところだった…。
もう時効が完成したなら、“その借金は消えてます”って私からも言いたい…」
やまと
「ふわ〜ん、それならくまさんはOK!
くまさんは“物上保証人”として、畑という担保で責任を負っていたから、時効の援用ができるんだよ〜!」
◆ 判例で見る「援用できる人・できない人」
【1】最判 平成11年10月21日
後順位抵当権者(チッチさん)は援用できない
自分の債務ではなく、他人の債務を「消したい」という間接的な利益目的では、援用は不可!
【2】最判 平成10年6月22日
物上保証人(くまさん)は援用できる
担保を提供して責任を負っている以上、自らを守るための援用は認められる!
◆ やまとのまとめ
| キャラ | 立場 | 援用できる? | 理由 |
|---|---|---|---|
| ぽんきちさん | 債務者 | ◎ | 自分の借金だから援用できる |
| くまさん | 物上保証人 | ◎ | 担保を提供して責任を負っている |
| チッチさん | 後順位抵当権者 | × | 他人の借金の時効援用はできない |
| こんたさん | 債権者 | ― | 援用される側の立場(関係はない) |
ゆっぽ
「なるほど〜。時効って、“自分に関係ある人”が言わなきゃダメなんだね。
チッチさんみたいに“得しそうだから言ってみた”じゃ通らないんだ…」
やまと
「ふわ〜ん、そうなの〜。
時効は“ただのラッキー”じゃなくて、“責任を負っている人を守る盾”。
だからこそ、“誰が言うか”がとっても大事なんだよ〜!」
関連リンク
▶︎ ふっくら草子